2022年度 春学期


社会構築論系演習(共生社会論5) 

副題 貨幣の社会学 ―経済社会学と社会経済学の視点を身につける

授業内容
 経済とは、媒体「貨幣」をが結ぶ行為連鎖の体系である。これが、社会科学における「経済」の定義である。経済を知るには、貨幣が、いったいどのようなものであり、どのような機能をしているのかを十分に知る必要がある。本演習は、この問題を、日本社会が1980年代末、その絶頂に達し、その後20年、「第二の敗戦」とまで言われ、世界での地歩を失っていくことになった、そもそもの原因を直視して考え、みなさんの世代に、この種の愚かな失敗を二度としないようにするための生きる力、生きる指針を身につけることを目的としたものである。
 毎回、社会経済学、経済社会学的な視点を学問的にトレーニングしながら、かつ新聞記事を適宜参照しながら、今、現在について考えることができる能力を身につけていく。
 学問の領域ということで言えば、社会経済学の基礎知識と、経済社会学の考え方についてその基本を学ぶ。この分野は、日本では社会学者がほとんど専門にしている人がおらず、私がその第一人者である。私と学ぶことは、日本の経済社会を、十分に見通せる力を身につけ、さらに貨幣が持っている、さまざまな機能の中から、実は、社会を変えていくこともできることを理解できるはずである。社会学者や、たいていの場合、お金が実は好きなくせに、貨幣については研究をしていない。むしろ、社会は、人のつながりだと言うのが常だが、つながりをつける最たるものは、実はお金である。これを悪いものだと言うことは簡単であるが、社会学者のみならず、政治家、大学教授、実はみんなお金が大好きなのに、それがいったい何なのかについては言わない。このこともなぜか、みなさんと考えていきたい。

授業の到達目標
 社会経済学の基礎知識と、経済社会学の基本発想について学びながら、貨幣とはいったいどのような機能を持つものであるのかを、正確に理解する。

授業計画 
第1回 オリエンテーション 演習の進め方、教科書、参考書について説明します。
第2回 ネオ・リベラリズムとは何か? 小泉政権と郵政民営化とは何だったのか?
第3回 資本市場の構造転換 「失われた10年」とは何か? (1)
第4回 資本市場の構造転換 「失われた10年」とは何か? (2)
第5回 メディアとしての貨幣(1)
第6回 メディアとしての貨幣(2)
第7回 市場と価格
第8回 銀行とは何か?
第9回 ケインズの要点を理解する
第10回 減価する貨幣は可能か?
第11回 クレジットカードの誕生と資金循環統計を知る
第12回 貨幣発行自由化論は可能か?
第13回 ビットコインを考える
第14回 EUはどうなる?
第15回 日本はどうなる?

教科書
森 元孝『貨幣の社会学 ―経済社会学への招待』東信堂 2007年。  この教科書は、必携です。これがないと、演習は受講できません。


関連するURL http://www.f.waseda.jp/wienmoto/