近代社会の合理化作用と「画一化」の問題
M.ウェーバーの官僚制論を追いつつ、明治期の日本について「前近代的家産官僚制」というよく知られた仮説を、歴史社会学的に整理した仕事。とくに教育分野の官僚制化を学校制度・教員養成制度・教科書制度・社会教育制度の諸側面から、史資料を用いて再構成した力作。明治期日本の教育分野にも近代的な意味での合理性が機能していたこと、それゆえに単純に「前近代的・因習的」とだけ判断すると、多くのことを見落とすことになると展開、また、現代日本でしばしば聞かれる「画一化」教育への批判も、近代的教育制度が「合理化」を追究する本質を持つ限り、的外れになるのではないかとも指摘。作者は、大学院に進み、アメリカでも学位を取得し、現在さらに精密な研究を進めている。