「脳死と社会」  

 「脳死臨調」をはじめ、「脳死」を人の死として認めるかどうかについて、国民的議論となった時代の直後。多くの論者たちの諸説を丁寧かつ徹底的に収集して、これをさらに徹底的に分析し、論理性、説得力などについて、すべてに対して批判的検討をしつつ、自らの位置を明確に浮かび上がらせるという形でまとめた力作。400字詰原稿用紙で350枚を超える大作でもあったし、著者自身の独自の視点を明確化するために、すべてに精密かつ論理的批判を加えていくというしたたかな神経に感服した。